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政治・経済情報

ホンジュラス内政・外交月報 〈2009年7月〉  

Ⅰ.内政

1.6月28日政変に関する主な出来事

(1)2日、記者会見の場でミチェレティ「大統領」は、政情安定化に役立つのであれば11月に実施が予定されている総選挙を前倒しすることも排除しない旨発言した。また全ての国民に資するものであるなら、選挙の前倒しは政治的に解決可能であると述べた。
(2)5日、セラヤ大統領は、滞在中のワシントンよりベネズエラ石油公社所有の航空機でデスコト国連総会議長とともにテグシガルパに向け出発した。しかし、当局からの着陸許可が得られず、国軍により滑走路に軍用車が設置されたため着陸出来ず、ニカラグアに向かった。
(3)6日、セラヤ大統領とクリントン米国務長官がワシントンで会談した。会談後の記者会見で同長官はアリアス・コスタリカ大統領がセラヤ大統領とミチェレティ「大統領」の仲介を行うことにセラヤ大統領が合意したと発表した。また、ミチェレティ「大統領」もアリアス大統領の仲介に賛同の意を表明した。
(4)9日、アリアス・コスタリカ大統領は、セラヤ及びミチェレティそれぞれと個別に会談した。3者会談は行われなかった。
(5)18日、コスタリカにおいてアリアス同国大統領の仲介の下、セラヤ及びミチェレティそれぞれの代表団による対話が再開されたが、セラヤ大統領の復職問題を中心に合意が得られなかった。
(6)同日、検察は、大統領官邸にあった「4番目の投票」に関する世論調査に係るコンピューター・センターを捜索した。捜索によると、6月28日に実施予定であった「世論調査」に関し、制憲議会召集に関する「4番目の投票」に賛成するとの回答が圧倒的に多い結果が既に入力ずみであった。
(7)20日、EUはホンジュラスへの財政支援の凍結を発表した。2007年から2010年に対応する同財政支援は総額65.5百万ユーロに達する。
(8)22日、アリアス・コスタリカ大統領は、セラヤ派、ミチェレティ派代表団臨席の下、セラヤの復職や恩赦等を含む12項目のサンホセ合意案を発表した。
(9)24日、セラヤ大統領はニカラグアからホンジュラスとの国境地帯ラス・マノスに到着し、ロダス外相及びセラヤ支持派の労組等による「人間の鎖」に囲まれる形で国境線をわずかに通過したが、ホンジュラス国軍幹部との「協議」が行えなかったため、すぐにニカラグア側に戻った。
(10)25日、ミチェレティ「大統領」は、大統領府で約1時間、Connie Mack、Brian P. Bilbray、Tom Dime米国議会議員(いずれも共和党)等と会談し、ホンジュラス政情について説明した。

2.「4番目の投票」に関する汚職問題

(1)5日、検察は刑事裁判所に職権濫用と公金横領の疑いでフローレス・ランサ大統領府大臣の拘束を要請した。検察が提出した書類によると同大統領府大臣は26日に中銀より4千万レンピーラを引き出したとされる。これらの資金がセラヤ支持派のデモ集会等に使用された可能性があるとされている。
(2)14日、当局により本件に関わりのあると見られる住宅の家宅捜査が行われた。同住宅では大統領府の印が入った箱などを出し入れしていたのが目撃されており、「4番目の投票」に関与していた者が使用していたと見られる。同住宅からは、2万7千~32万レンピーラ相当の大統領府発出の小切手が69枚、武器、その他公文書等が押収された。
(3)27日、サガストゥメ会計検査院長はセラヤ政権時の汚職問題につき、IDBや台湾からによる融資が「4番目の投票」のための動員や広告費に流用されていた旨公表した。会計検査院によると、6月だけで150百万レンピーラ(約8百万ドル)が右用途のために中銀から引き落とされていると指摘した。

Ⅱ.外交

1.OAS資格停止問題

4日、OAS総会は全会一致によりホンジュラスの資格停止を決定した。総会にはセラヤ大統領の他、フェルナンデス・アルゼンチン大統領、ルゴ・パラグアイ大統領も出席した。なお、3日にミチェレティ「政権」はOASからの離脱を表明していたが、インスルサOAS事務総長は、ミチェレティ「政権」はOASから承認されておらず、その発表には法的効果は無いと発言した。

2.外務省発表

(1)18日、当国外務省は16名の在外ホンジュラス大使の解雇を発表するとともに、これらの大使が不正蓄財などを行っているとして会計検査院や検察への調査を命じた。
(2)同日、外務省はコミュニケを発出し、ベネズエラ政府を中心とする外国政府がホンジュラスの内政に干渉し主権を侵害しているとし、この状況が続くようであれば外交使節の退去を求めることも辞さないと発表した。
21日、外務省は在ホンジュラス・ベネズエラ大使館に対し、ホンジュラス内政干渉や主権の侵害等を理由に72時間以内に外交団を退去させるよう要請したが、同大使館はこれに応じなかった。またアルバラド「外務次官」は、在ベネズエラのホンジュラス外交団も引き上げると発言した。

3.FARCによるセラヤ派に対する財政支援疑惑

23日、ドゥアルテ検察報道官は、検察に対してFARCによるセラヤ派に対する財政支援疑惑に対する調査要請が寄せられた旨発表した。同報道官は組織犯罪担当検事により右に関する調査が開始される可能性につき示唆した。但し、具体的にどのような組織がFARCからの資金援助を受けているかについては言及しなかった。


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